賃貸仲介の営業担当の方に向けて、内見でお客様と一緒に確かめる点と、内見前の準備をまとめました。お部屋探し中の方が、自分用の確認表としてそのまま使える内容にしています。表の例はすべて書き方の見本で、実在の物件やお客様の話ではありません。
先に結論:4つの場所に分けて見て、3つの印を付ける
内見は、次の4つに分けて順に見ると抜けが減ります。見た結果はその場で「良い/気になる/確認できず」に分けて書き、確認表としてお客様に渡します。
| 場所 | 主に見る点 |
|---|---|
| 部屋の中 | 日当たり、家具が置ける広さ、収納、コンセント、電波、音、におい、傷 |
| 水回り・設備 | 水の出方と排水、洗濯機・冷蔵庫置き場の寸法、コンロ、エアコン、浴室 |
| 建物・共用部 | オートロック、ゴミ置き場、駐輪場、廊下、郵便受け |
| 周りの環境 | 駅までの時間、買い物、夜の道、音 |
いちばん後から効くのは、部屋の中の傷の記録です。入居前からある傷を残しておくと、退去のときに「いつからあった傷か」で話がこじれにくくなります。
スマートフォンで付けたい場合は、exbk.jp の内見チェックリストが無料・登録なしで使えます。この記事の表とほぼ同じ項目が並んでいて、そのまま確認表として印刷できます。ほかの不動産向けアプリはアプリ一覧にあります。
チェックリストを使うと変わること
内見は、図面や写真ではわからないことを確かめる場です。ところが、その場では部屋の明るさや広さの印象が強く残り、コンセントの位置や洗濯機置き場の寸法のような細かい点は見落とされがちです。
チェックリストを使うと、次のことが変わります。
- 見落としが減る:同じ順番で見るので、「冷蔵庫の置き場を測り忘れた」が起きにくくなります。
- 比べやすくなる:2件、3件と内見したあとでも、同じ項目で並べて比べられます。
- 申込の判断が早くなる:「気になる」が付いた点だけを話し合えばよいので、迷う時間が短くなります。
- あとで確認することがはっきりする:その場でわからなかった点が「確認できず」として残り、担当者の宿題になります。
担当者にとっては、内見の中身が記録として残るので、ほかの社員に引き継ぐときも楽になります。
場所ごとの確認表
場所ごとに4つの表に分けました。どの表も「確かめる点」「どう確かめるか」「気になったときのメモの例」の順です。
部屋の中
| 確かめる点 | どう確かめるか | 気になったときのメモの例(見本) |
|---|---|---|
| 日当たり・窓の向き | 窓の向きを方位で確かめ、晴れた日の明るさを見る | 南向きだが、向かいの建物で昼過ぎから影になる |
| 家具・家電が置ける広さ | メジャーで壁から壁、窓の下の高さを測る | ベッドを置くと、クローゼットの扉が半分しか開かない |
| 収納の数と奥行き | 扉を開けて奥行きと高さを測る | 奥行きが浅く、衣装ケースが入らない |
| コンセント・テレビ端子 | 部屋ごとの位置と数を数える | テレビ端子が窓側にしかない |
| 携帯電話の電波 | 各部屋でスマートフォンの表示を見る | 奥の洋室で電波が弱い |
| 外や隣の部屋の音 | 窓を閉めて、しばらく静かに耳をすます | 窓を閉めても車の音が聞こえる |
| におい・カビ・結露のあと | 押し入れの奥、窓のまわり、北側の壁を見る | 北側の窓枠に黒いしみがある |
| 床・壁・建具の傷や汚れ | 入居前からある傷を探し、写真を撮る | 洋室の床に10センチほどのへこみ |
日当たりは、内見する時間で見え方が変わります。夕方の内見なら「昼の明るさは確認できず」と書いておき、必要なら別の時間にもう一度見ることを提案します。
床・壁・建具の傷や汚れは、入居してから効いてくる項目です。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の紹介ページでも、原状回復を退去時の問題だけでなく入居時の問題としてとらえ、入居時と退去時に物件の状況をよく確かめておくことが対策として挙げられています。
水回り・設備
| 確かめる点 | どう確かめるか | 気になったときのメモの例(見本) |
|---|---|---|
| 水の出方・排水の流れ | 台所・洗面・浴室の蛇口を開け、流れ方を見る(管理会社の了解の範囲で) | 洗面台の排水が遅い |
| 洗濯機置き場 | 防水パンの内寸と、蛇口の高さを測る | 蛇口が低く、ドラム式は置けない可能性 |
| 冷蔵庫置き場 | 幅・奥行き・高さと、近くのコンセントを見る | 幅60センチ、今の冷蔵庫は入らない |
| コンロ | ガスかIHか、口数を見る | IHの2口。今の鍋が使えるか要確認 |
| エアコン | 有無、何部屋に付いているか、動くか | 洋室には付いていない |
| 浴室 | 換気扇、追いだき、窓の有無を見る | 追いだきなし |
水を出す、電気をつける、といった確認は、物件によって止めてある場合があります。確かめられなかったら、無理に試さず「確認できず」としておきます。
建物・共用部
| 確かめる点 | どう確かめるか | 気になったときのメモの例(見本) |
|---|---|---|
| オートロック・宅配ボックス | 有無と、使い方を見る | 宅配ボックスは2つだけ |
| ゴミ置き場 | 場所と清潔さ、出す日の掲示を見る | 分別の掲示がはがれている |
| 駐輪場・駐車場 | 空きがあるか、料金を確かめる | 空きは管理会社に確認 |
| 階段・廊下・エレベーター | 掃除の様子、明るさを見る | 廊下の電球が1つ切れている |
| 郵便受け | チラシがあふれていないか、鍵の有無を見る | 鍵なしの郵便受け |
建物の手入れの様子は、共用部にいちばんよく出ます。お客様は部屋の中に目が行きやすいので、担当者が入口とゴミ置き場を通るように案内すると、見落としが減ります。
周りの環境
| 確かめる点 | どう確かめるか | 気になったときのメモの例(見本) |
|---|---|---|
| 駅・バス停までの時間 | 実際に歩いて時間を計る | 表示より坂道がきつい |
| スーパー・コンビニ・病院 | 場所と、歩いて行けるかを見る | スーパーは自転車が必要 |
| 夜の道の明るさ | 街灯の数、人通りを見る(昼の内見なら後日) | 夜は確認できず |
| 線路・幹線道路・施設からの音 | 部屋の窓の向きと、音の出る場所の距離を見る | 線路まで近いが、窓は反対側 |
周りの環境は、部屋を決めたあとでは変えられません。お客様があとで「知らなかった」と感じやすいのもここです。
浸水などの災害の心配は、物件ごとに違います。市町村のハザードマップ(洪水や土砂災害のおそれがある場所を示した地図)で場所を見ておくと、話が具体的になります。宅地建物取引業法施行規則では、重要事項説明で、市町村の長が提供する水害に関する図面の中で物件がどこにあるかを説明することになっています。内見の場で心配の声が出たら、重要事項説明で改めて説明することを伝えておきます。
担当者が内見の前に準備すること
内見の出来は、準備でほとんど決まります。持ち物と段取りに分けました。
持ち物
| 持ち物 | 使う場面 |
|---|---|
| 物件の資料・間取り図 | 部屋の広さや設備を、その場で照らし合わせる |
| 鍵(受け取りの段取りも) | 管理会社や現地のキーボックスなど、受け取り方を前日までに確認 |
| メジャー | 家具・家電の置き場、窓の高さを測る |
| スマートフォン | 写真、電波の確認、方位の確認 |
| スリッパ | 室内を歩くとき |
| 確認表(紙かアプリ) | その場でチェックとメモを残す |
| 筆記用具 | 紙の確認表に書き込む |
段取り
- お客様の希望条件を聞いておく:今の家具の寸法、在宅時間、車や自転車の有無、何を大事にしたいか。これで、確認表のどこを丁寧に見るかが決まります。
- 物件の情報をそろえる:(不動産会社どうしで物件情報をやり取りする仕組み)や管理会社の資料で、設備の有無や空き状況を確かめます。資料と現地が違うこともあるので、現地で確かめる点に印を付けておきます。
- 内見の順番と時間を決める:複数の物件を回るなら、移動の時間と、周りを歩いて確かめる時間も入れます。日当たりを見たい物件は、明るい時間に回します。
- 確認表を物件ごとに用意する:物件名・部屋番号・内見日・お客様の名前を先に入れておくと、当日は見ることに集中できます。
動画や(ゴーグルや画面で、その場にいるように見せる技術)で先に部屋を見てもらう方法もあります。ただ、音やにおい、周りの道の様子は映像では伝わりにくいので、現地で確かめる点として確認表に残しておきます。
内見の当日の進め方
当日は、表の順番どおりに回ると迷いません。
入口・共用部 → 部屋の中 → 水回り・設備 → 窓からの眺めと音 → 帰りに周りを歩く
チェックはお客様と一緒に付けます。担当者が一人で「問題ありません」と判断せず、お客様に見てもらって「良い」「気になる」を選んでもらいます。気になった理由は、お客様の言葉のまま短くメモします。
チェックは3つに分けておくと、あとで話し合いやすくなります。
| 付け方 | 意味 | 内見のあとにすること |
|---|---|---|
| 良い | 見て確かめ、問題がなかった | そのまま |
| 気になる | 見て確かめたが、心配な点があった | 申込の前に、お客様と話し合う |
| 確認できず | その場では確かめられなかった | 担当者が管理会社などに問い合わせて連絡 |
「確認できず」は正直に残してください。わからない点を「たぶん大丈夫」で済ませると、入居してから「聞いていない」につながります。
内見のあとに確認表を渡す
内見が終わったら、確認表をお客様に渡します。次のものが入っていれば十分です。
- 物件名・部屋番号・内見日・お客様の名前
- 項目ごとのチェック(良い/気になる/確認できず)
- 気になる点のメモ
- 担当者が問い合わせて連絡すること
2件以上を内見したお客様には、確認表を並べて見てもらうと、どこが気に入ったか、どこが引っかかったかをお客様自身が整理できます。担当者は「気になる」と「確認できず」だけを順に説明すればよいので、話が短くなります。
入居が決まった物件の確認表は、控えを残しておきます。内見のときに記録した傷や汚れは、入居時の状況を確かめるときの手がかりになります。入居のときの確認と退去のときの流れは、原状回復の考え方と退去立会いの進め方にまとめています。
アプリで確認表を付けて印刷する
ここまでの表は、紙に写して使ってもかまいません。スマートフォンで付けるなら、内見チェックリストが使えます。

アプリには、この記事の表とほぼ同じ23の項目が、部屋の中・水回りと設備・建物と共用部・周りの環境の4つに分けて並んでいます。項目ごとに「良い/気になる/確認できず」を選び、必要ならメモを書けます。画面の上には、確認済みの数と「気になる点」の数が出ます。
「確認表を印刷」を押すと、そのまま紙の確認表になります。プリンターが無い場所では、印刷の画面で「PDFに保存」を選ぶと、ファイルでお客様に渡せます。最初は見本の物件とお客様(架空のデータ)が入っているので、書き換えて試せます。
登録しないで使う間は、入力した内容はその端末のブラウザの中にだけ保存され、サーバーには送られません。お客様の名前を入れる場合も、社外に出ない形で使えます。
どの項目を見るか、どんな順番で回ると伝わりやすいかは、毎日内見に出ている担当者がいちばんよく知っています。このアプリは で作りました。自社の確認表の項目や並びをそのままアプリにしたい場合は、社員が自分で業務アプリを作れるようになる不動産の現場向けの Claude Code 研修を行っています。
よくある困りごと
| 困りごと | どうするか |
|---|---|
| 項目が多くて時間が足りない | お客様の希望条件に関わる項目を先に見て、残りは「確認できず」として後で問い合わせる |
| 夜の様子がわからない | 「確認できず」に残し、お客様に夜に一度歩いてもらうことを提案する |
| 資料と現地の設備が違う | その場で写真を撮り、管理会社に確かめてから、お客様に連絡する |
| 空室で電気や水道が止まっている | 無理に試さず「確認できず」とし、入居前の確認の段取りを伝える |
| 何件も内見して、どこがどうだったか忘れる | 物件ごとに確認表を分け、内見が終わるたびにその場で付ける |
まとめ
- 内見は、部屋の中・水回りと設備・建物と共用部・周りの環境の4つに分けて順に見る
- チェックは「良い/気になる/確認できず」の3つに分け、お客様と一緒に付ける
- 担当者は、希望条件の聞き取り、資料と持ち物、回る順番を前日までにそろえる
- 内見のあとは確認表をお客様に渡し、「確認できず」は担当者が問い合わせて連絡する
- 入居前からある傷を記録しておくと、退去のときの話し合いにも役立つ
内見の確認表や物件の書類を、社員が自分でアプリにできるようになりたいときは、不動産の現場向けの研修で進め方を紹介しています。
