モニタリング記録は、個別支援計画が絵に描いた餅になっていないかを確かめる書類です。ところが現場では、期限が来たから書く書類になりがちで、「変わりなく通所されている」の一行で終わることがあります。

この記事では、基準省令の条文で定められている手順と間隔を確認したうえで、短期目標ごとの達成状況と理由をどう書くか、次回の予定と計画変更の要否をどう決めるかを、見本の表でまとめます。事業所名も利用者名も架空で、数値はすべて書き方の見本です。

読む人は、サービス管理責任者と、日々の様子を伝える支援員を想定しています。

先に結論:モニタリング記録に書くのはこの6つ

条文が求めていることを、記録用紙の欄に置き換えると次のようになります。

記録の欄書くこと書くときの目安
対象の個別支援計画どの計画の何期目か、計画期間計画の短期目標をそのまま写す
実施日・実施者モニタリングを行った日と担当者前回からの間隔が基準内かを確かめる
目標ごとの達成状況短期目標1つにつき1行達成の度合いと、そう判断した理由を分けて書く
本人と家族の意見聞き取った言葉言い換えず「」でそのまま残す
計画変更の要否変更する、一部変更する、変更しない変更しない場合も理由を書く
次回の予定次回のモニタリング予定日、次の支援計画の間隔から逆算して日付で書く

肝心なのは3つ目です。目標ごとに行を分けると、「全体としては落ち着いている」でまとめられなくなり、どの目標が進んでいてどれが止まっているかが表に出ます。

exbk.jp のモニタリング記録のアプリは、この並びのまま入力できる画面です。個別支援計画を選ぶと、その計画の短期目標が1行ずつ読み込まれます。無料で、ログインしなくてもブラウザだけで試せます。事業所で使うなら無料のアカウント登録で、事務所のパソコンと支援の場のタブレットに同じデータを出せます。

こうした書類を業者に頼まず職員が自分で作れるようにする障害福祉の Claude Code 研修も行っています。対象は、支援記録や計画、工賃計算の作成を担当している生活支援員、職業指導員、サービス管理責任者、事務員の方です。

モニタリング記録のアプリの画面。表示しているのは見本データです
モニタリング記録のアプリの画面。表示しているのは見本データです

モニタリングは基準省令のどこに書かれているか

根拠は、障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスの基準を定めた省令(平成18年厚生労働省令第171号)です。療養介護の章にある第五十八条が個別支援計画の作成手順の本体で、生活介護など他のサービスの章は、第九十三条などでこの条文を準用しています。

モニタリングという言葉が定義されているのは、第五十八条の第九項です。

サービス管理責任者は、療養介護計画の作成後、療養介護計画の実施状況の把握(利用者についての継続的なアセスメントを含む。以下「モニタリング」という。)を行うとともに、少なくとも六月に一回以上、療養介護計画の見直しを行い、必要に応じて療養介護計画の変更を行うものとする。

短い条文ですが、読み落とされやすい点が2つあります。ひとつは、モニタリングに「利用者についての継続的なアセスメント」が含まれると書かれていること。つまり計画の進み具合を確かめるだけでなく、本人の状況や希望を改めて見ることまでが中身に入っています。アセスメントの項目そのものは障害福祉のアセスメントシートの記事にまとめました。

もうひとつは、見直しと変更が別に書かれていることです。見直した結果、このまま続けるという判断もありえます。その場合も、なぜ続けるのかを記録に残しておけば、次の実地指導で説明できます。

面接と記録は第十項に書かれている

続く第十項は、モニタリングのやり方を定めています。利用者とその家族等との連絡を継続的に行うこととしたうえで、特段の事情のない限り、次の2つを行わなければならないとしています。

一 定期的に利用者に面接すること。
二 定期的にモニタリングの結果を記録すること。

面接と記録は、努力目標ではなく条文の中身です。体調や入院で面接ができなかった回があるなら、記録の欄に事情を書き、いつ改めて面接したかまで残してください。

間隔はサービス種別で変わる

第九項の「六月に一回以上」は、準用の条文で読み替えられる場合があります。省令の中で「同条第九項中『六月』とあるのは『三月』と」と書かれているサービスを、条文を開いて並べると次のとおりです。

見直しの間隔サービス根拠の条文
少なくとも六月に一回以上療養介護第五十八条第九項
少なくとも六月に一回以上生活介護第九十三条(第五十八条を準用、読み替えなし)
少なくとも三月に一回以上自立訓練(機能訓練)第百六十二条(「六月」を「三月」と読み替え)
少なくとも三月に一回以上自立訓練(生活訓練)第百七十一条(同上)
少なくとも三月に一回以上就労移行支援第百八十四条(同上)
少なくとも六月に一回以上就労継続支援A型第百九十七条(読み替えなし)
少なくとも六月に一回以上就労継続支援B型第二百五条(読み替えなし)
少なくとも六月に一回以上共同生活援助第二百十三条(読み替えなし)

多機能型で就労移行支援と就労継続支援B型を一体的に行っている事業所では、同じ建物の中で間隔の違う2つの決まりが動くことになります。利用者ごとに次回予定日を持たせておかないと、まとめて年2回という運用になりがちです。

なお、ここに挙げた間隔は、事業所が行う個別支援計画のモニタリングの話です。相談支援事業所が行うサービス等利用計画のモニタリングは別の制度で、期間も市町村の決定で決まります。

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目標ごとの達成状況は、段階と理由を分けて書く

達成状況は、段階だけを書いても、理由だけを書いても片手落ちになります。段階は一覧にしたときに比べるため、理由は次の支援を決めるためにあります。

段階の言葉は、事業所で決めておくと記録がそろいます。見本として、4段階の目安を挙げます。

段階判断の目安記録での使い方
達成目標の状態が続いている次の目標に進める段階かを書く
おおむね達成できている日が多いできなかった場面の条件を書く
一部達成場面や時間帯で差があるどの場面でできて、どこで止まるかを書く
未達成取り組み自体が始まっていない目標が本人の希望とずれていないかを見る

理由の欄には、判断のもとになった事実を書きます。回数、割合、日付、本人の言葉。ここが「意欲が見られる」のような評価語だけになると、次の担当者が読んでも何を見て判断したのか分かりません。

よくない書き方と、書き直した見本

架空の就労継続支援B型事業所の記録を例にします。数値はすべて見本です。

よくない例書き直した例直したところ
作業は概ね順調。袋詰めの作業量は1日平均260個(目標300個)。午前は目標どおりだが、午後に数が落ちる。数と、落ちる場面を書いた
休憩について声かけを継続中。9月は1日平均2回、本人から休憩カードを使って申し出があった。7月は週1回程度だった。前回との比較を数で書いた
意欲的に取り組まれている。新しい工程の説明を自分からもう一度聞きに来た日が、9月に3日あった。評価語を、見た出来事に置き換えた
特に変化なし。通所は20日中19日。作業量、休憩の取り方ともに前回と同じ水準。何を見て変化なしとしたかを書いた
家族も喜んでいる。母「家でも疲れた様子が減った」。本人「休憩カードがあると言いやすい」。聞いた言葉をそのまま残した

事実と評価を分けて書く考え方は、日々の支援記録と同じです。日々の記録の書き方は障害福祉の支援記録の書き方にまとめてあります。日々の記録が「変わりなし」だけで埋まっていると、モニタリングの回で書くことがなくなります。逆に言えば、モニタリングが書きにくい事業所は、日々の記録の書き方から見直したほうが早いです。

「今後の支援」は、誰が何をするかまで書く

達成状況の行には、今後の支援を書く欄を用意します。ここを「引き続き支援する」で埋めると、次の3か月も同じ記録になります。

短期目標:疲れたときに自分から休憩を申し出る
達成状況:おおむね達成
様子・理由:9月は1日平均2回、カードを使って申し出た
今後の支援:職員からの声かけを1日3回から1回に減らし、本人からの申し出を待つ

これだけ書いてあれば、次回のモニタリングで何を見ればいいかが決まります。声かけを減らしたあとに申し出が続いたかどうか、それが次に確かめることです。

モニタリング記録のアプリでは、この4つが目標ごとの1行になっています。計画を選ぶと短期目標が読み込まれるので、目標の文言を写し間違える手間がありません。印刷すると、そのまま事業所の控えとして綴じられる体裁になります。

次回の予定と、計画変更の要否を決める

記録の最後に置くのは、次回のモニタリング予定日と、計画変更の要否です。この2つは連動します。

次回予定日は、計画の間隔から逆算する

次回の予定は「3か月後ごろ」ではなく日付で書きます。実施日にサービス種別ごとの間隔を足した日が、遅くともこの日までという線です。就労移行支援で9月14日にモニタリングをしたなら、次は12月14日が上限になります。アプリには実施日に計画の間隔を足して次回予定日を入れるボタンがありますが、紙の様式でも、様式の欄に「実施日+3か月」と印字しておけば同じことができます。

計画変更の要否は、3つから選ぶ

判断どんなときか記録に書くこと
変更しない目標がまだ途中で、支援の内容も合っているなぜ続けるのか、次回まで何を見るか
一部変更する目標の一部が達成し、次の段階に進めるどの目標を、どう書き換えるか
変更する本人の希望や状況が変わった何が変わったか、いつ会議を開くか

変更すると決めたら、そこから先は計画の作成と同じ手順です。条文は、第二項から第八項までの規定を計画の変更について準用すると定めています。つまりアセスメント、原案の作成、担当者を集めた会議、本人または家族への説明と文書での同意、本人と相談支援事業者への交付まで、ひととおり必要になります。手順の詳細は個別支援計画の書き方の記事にまとめました。

モニタリングの日に「変更する」と書いたきり、会議も同意もないまま次の期に入ってしまう。実地指導で指摘されやすいのはこの形です。記録に「一部変更する」と書いた時点で、会議の日取りまで決めてしまうほうが安全です。

書類の様式は事業所ごとに違うので、市販のソフトが合わないことも多いはずです。このモニタリング記録のアプリも、 という、日本語の指示でアプリを作れる道具で作りました。自分の事業所の様式に合わせた入力画面を職員が自分で作れるようにする障害福祉の Claude Code 研修では、支援記録、計画とモニタリング、工賃計算のアプリを、10時間かけて実際に作ります。Zoomのライブで、定員は1回あたり10名までです。プログラミングの経験はいりません。

生成AIに下書きを作らせると、どこまで書けるか

この記事を書くのに使った生成AI()に、見本データで下書きを作らせてみました。渡したのは、架空の利用者の短期目標2つと、月ごとの作業数・休憩の申し出回数という数字だけのメモです。返ってきた文は、こういうものでした。

短期目標「袋詰めの作業を1日300個できる」について。9月の作業量は1日平均260個で、目標の約87%にあたる。午前の作業量は目標に達しているが、午後に低下する傾向がある。

数字を文にするところまでは、渡した範囲どおりに書けました。一方で、なぜ午後に落ちるのか、次に何を変えるのかは書けません。メモに入っていないからです。AIが埋めようとすると、そこは見たことのない推測になります。

そう考えると、下書きを任せられるのは、数字と出来事を文の形に整える部分までです。理由と今後の支援は、その場にいた職員が書く。役割をこう分けておくと、記録の質を落とさずに時間を減らせます。障害福祉の場面でのAIの使い分けは障害福祉の現場でのAIの使いどころにまとめました。

試すときの注意も書いておきます。利用者の氏名、生年月日、受給者証番号、病名のような情報を、外部の生成AIのサービスにそのまま入力しないでください。上の取扱いに関わりますし、事業所としての決まりがないまま個々の職員が使い始めると、あとで経緯を追えなくなります。使うなら、事業所として入力してよい範囲を先に決めることからです。

よくある失敗

現場の様式と条文を突き合わせると、次の4つが目立ちます。

1つの計画にまとめて1行だけ書く。 目標が3つあるなら、記録も3行あるはずです。まとめて書けば早いのですが、どの目標が止まっているかが消えます。

前回のコピーで済ませる。 前回と同じ文が続いている記録は、比べる材料になりません。せめて数字だけでも今回のものに入れ替えてください。

面接をしていない回の記録が空欄。 条文は特段の事情のない限り定期的に面接することを求めています。できなかったなら、その事情を書くほうが筋が通ります。

次回予定日が空欄。 期限を管理していないと、間隔が空いたことに気づくのが次の実地指導の場になります。

まとめ

  • モニタリングは、個別支援計画の実施状況の把握であり、利用者についての継続的なアセスメントを含むと条文に書かれている
  • 見直しは少なくとも六月に一回以上。自立訓練(機能訓練・生活訓練)と就労移行支援は、準用の読み替えで三月に一回以上になる
  • 特段の事情のない限り、定期的に利用者に面接し、定期的に結果を記録することが定められている
  • 記録は短期目標ごとに1行。段階と、そう判断した理由(数字・出来事・本人の言葉)を分けて書く
  • 「変更する」と書いたら、アセスメントから会議、同意、交付までが必要になる

書式が決まれば、記録は埋めるだけの作業になります。その書式を、外注せずに自分たちの手でアプリにしたい方に向けて、障害福祉の Claude Code 研修をご用意しています。