施工管理には書類仕事がたくさんあります。朝礼のKY活動シート、作業日報、出面の集計、重機の検査の期限、出来形の測定結果、写真台帳、工程表。工事が続く限り、どれも毎日か毎週やってきます。
こうした書類仕事を片付けるアプリを11種作り、無料で公開しました。作ったのは、プログラムを書かない私です。 というAIに、日本語で頼んで作りました。
この記事では、どの書類にどのアプリを使うかを先に示し、そのあと11種の機能を1つずつ紹介します。最後に、作ったときの記録を載せます。
先に結論:書類ごとに使うアプリ
11種のアプリは、建設業の現場アプリ一覧にまとめてあります。無料で、登録しなくてもブラウザで開けばその場で使えます。
どの書類に使うかは、次の表のとおりです。
| 片付けたい書類仕事 | 使うアプリ |
|---|---|
| 朝礼の危険予知 | KY活動シート |
| 翌日の段取りの伝達 | 作業指示書 |
| 天気、作業、出面、機械の記録 | 作業日報 |
| 資格と重機の検査の期限 | 資格・検査の期限管理 |
| 監督職員との段階確認の日程 | 段階確認・立会い予定 |
| 設計値と実測値の比較 | 出来形管理表 |
| 写真の整理と台帳の印刷 | 工事写真台帳 |
| 残土と産廃の搬出量の集計 | 残土・産廃の搬出記録 |
| 施工計画書の記載漏れ | 施工計画書チェック |
| 工程の遅れ | 工程表 |
| 上の全部をまとめて見る | ダッシュボード |
迷ったら、毎日書く書類から始めてください。KY活動シートと作業日報に数日分の記録がたまると、ダッシュボードに出面や朝礼の欄が並びはじめます。

11種に共通する使い勝手
どのアプリも、次の作りになっています。
- 登録なしで使える。ブラウザで開けば、その場で入力を始められます。
- ログインしていない間、入力した記録はその端末のブラウザにだけ保存され、サーバーには送られません。
- 画面の下にある「全アプリのデータをバックアップ」で、全アプリの記録を1つのファイルに書き出せます。別の端末で「バックアップから戻す」を押すと、同じ記録を読み込めます。
- 多くのアプリに「印刷」と「CSVで書き出す」のボタンがあります。CSVは表計算ソフトで開けるファイルです。紙で残す書類も、表計算ソフトでの集計も、そのまま続けられます。
- 初めて開くと、2029年9月の架空の工事「【サンプル】町道サンプル線 道路改良工事」の記録が見本として入っています。書き換えて試し、「見本を消して白紙から使う」で空にできます。
- 事務所のパソコンと現場のタブレットで同じ記録を見たい場合は、無料のアカウント登録をすると、記録がアカウントに保存されます。
11種のアプリでできること
ここから1つずつ紹介します。各節の最後のリンクから、それぞれのアプリをすぐに開けます。
ダッシュボード
各アプリに入力した記録を集めて、1画面に並べます。期限切れの資格と検査、30日以内に期限が来るもの、7日以内の段階確認、遅れている作業、今月の延べ人数と搬出件数が、数字のカードで並びます。
「基準日」を変えると、その日を今日として期限や遅れを計算し直します。朝礼の前に、今日のKY活動シートと翌日の作業指示書ができているかも確かめられます。
KY活動シート
「掘削」「重機作業」「つり作業」など今日の作業と、「暑い日」「雨・雨の後」などの条件を選ぶと、危険のポイントの候補が並びます。その中から重点を2つ選ぶと、朝礼で読み上げるシートになります。
危険ごとに対策と根拠の条文が付き、作業に合わせた指差し呼称も表示されます。参加者の名前を入れておくと、印刷したときにサイン欄へ名前が入ります。
作業日報
日付、現場名、天気、その日の気温(高い・低い)、作業内容、協力会社ごとの出面、使用機械、安全と特記事項、翌日の予定を1画面で記録します。
2日目からは「今日の日報を作る」を押すだけで、現場名、作成者、協力会社、機械が前日から引き継がれます。開始日と終了日を指定すると、その期間の作業件数と延べ人数を合計し、CSVで書き出せます。
資格・検査の期限管理
作業員の資格と免許、重機の定期自主検査の期限を1つの表にまとめます。前回の実施日と周期を入れると次の期限を計算し、期限切れは赤、30日以内は黄色で知らせます。
ひな形として、車両系建設機械の特定自主検査(年次)と定期自主検査(月次)、移動式クレーンの定期自主検査(年次)を用意しました。周期は条文で確認できたものだけを入れています。
出来形管理表
工種、種別、測定項目ごとに表を作り、測点ごとに設計値と実測値を入れます。差を自動で計算し、規格値の範囲に入っているかを「合格」「規格値外」で判定します。
下には、設計値との差を測点ごとに結んだ管理図が描かれ、規格値の線を超えた点は赤で表示されます。規格値は発注者の基準によって違うので、アプリには入れていません。自分で確かめて入力します。
施工計画書チェック
施工計画書に書く19の記載事項を一覧にし、項目ごとに「未着手」「作成中」「記載済み」などの状態と、担当、メモを記録します。進み具合は「13 / 19」のような数字と棒で表示されます。
記載事項は、島根県の「施工計画書 作成ガイド(案)」(令和7年2月 第1版)の表に沿っています。必要な項目は発注者の仕様書で変わるので、提出前の抜け漏れの確認に使ってください。
工事写真台帳
写真をまとめて取り込み、1枚ごとに工種と種別、測点と位置、撮影日、説明を入れます。撮影日には、写真ファイルの日付が最初から入ります。並び順は矢印で入れ替えられ、「A4で印刷」を押すと、1ページに写真と説明が並んだ台帳になります。
写真は長辺1,280ピクセルに縮小して、端末の中に保存します。電子納品に使う原本は、別に保管してください。
段階確認・立会い予定
段階確認と立会いの予定日、時刻、工種と種別、確認項目、監督職員、方法(臨場、机上、遠隔臨場)、状態を一覧で管理します。7日以内の予定は画面の上に出ます。
予定ごとの「コピー」を押すと、日時、工種、確認項目、方法を書き込んだ依頼の文面がコピーされます。メールやチャットに貼り付ければ、そのまま監督職員に送れます。
残土・産廃の搬出記録
搬出した日、種類(残土、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊など)、車両、台数、1台あたりの量、運搬先、マニフェスト番号を記録します。台数と1台あたりの量から数量を計算し、月ごとに種類別と運搬先別の合計を出します。
この記録は現場での集計用です。産業廃棄物の委託契約やマニフェストの手続きは、別に行ってください。
作業指示書
翌日の作業日、現場名、職長、集合時刻と場所、作業ごとの場所と班と人数と使用機械、注意事項、緊急連絡先を1枚にまとめて印刷します。
「KY活動シートから重点を読み込む」を押すと、同じ日(なければ最新)のKY活動シートから、危険のポイントと対策、行動目標を取り込みます。同じことを二度書かずに済みます。
工程表
工期と、作業ごとの開始日、終了日、進み具合を入れると、バーチャートを描きます。月の区切りと今日の位置が表示され、進み具合の分だけ棒が塗られます。
終了日を過ぎても終わっていない作業は「遅れ」、経過日数から見た予定より10ポイントを超えて遅れている作業は「予定より遅れ」と、色で知らせます。A4横向きで印刷できます。
使い始める前に決めること
アプリは開けばすぐ使えますが、現場で続けるなら、次の3つを先に決めておくと困りません。
記録をどの端末に残すか
ログインしていない間の記録は、入力した端末のブラウザの中にしかありません。現場のタブレットで日報を書き、事務所のパソコンでダッシュボードを見る、という使い方をするなら、無料のアカウント登録をするか、バックアップを書き出して読み込む手順が要ります。どちらにするかを、使い始める日に決めてください。
バックアップを誰がいつ取るか
よくある失敗は、ブラウザのデータを消したときや端末を替えたときに、記録がまとめて消えることです。書き出す担当と曜日を決めておけば防げます。写真台帳の画像はバックアップに含まれないので、写真の原本は別に保管します。
発注者ごとに違う値を誰が入れるか
規格値や段階確認の項目のように、発注者によって違う値はアプリに入れていません。出来形管理表は、規格値を入れてはじめて合否の判定に使えます。仕様書を確かめて入力する人を決めておきます。
危険と対策、記載事項、ひな形の周期は一般的な内容です。現場での最終的な判断は、職長や安全衛生責任者、発注者の基準に従ってください。
Claude Code でどう作ったか
ここからは、作った経緯です。
私は EX BANK という会社の代表で、プログラムを書く仕事はしていません。現場アプリは、Claude Code に日本語で頼んで作りました。Claude Code は、パソコンの中のファイルを自分で読み書きしながら作業するAIです。
最初に頼んだのは「簡単なアプリを作って」でした。できたのが、KY活動シート作成ツールです。続けて「他にも作れそうな施工管理アプリをリストアップ」「すべてのアプリを作成」と頼み、残りのアプリができました。
作業の記録から、時刻を並べます。
| 時刻(2026年9月15日) | 出来事 |
|---|---|
| 12時27分 | KY活動シートの調査を開始 |
| 13時01分 | KY活動シート作成ツールを公開 |
| 13時10分 | 業務用の現場アプリ10種を作り、手元で全アプリを操作確認 |
| 13時34分 | 現場アプリ10種を公開 |
| 15時01分 | ダッシュボードを追加 |
作る途中で、Claude Code は法令の条文を調べ、確認できた数字だけを使いました。フルハーネスの着用が必要な高さは資料によって値が違ったため、アプリには入れていません。
公開の前には、Claude Code が自分で画面を操作して計算結果を確かめました。出来形管理表なら「規格値±20で、差が25の測点だけが規格値外になるか」、搬出記録なら「3台×5.5で16.5m³になるか」を見ています。見つかった不具合は、その場で直してから公開しました。
この11種は、施工管理でよくある書類を題材にしたものです。実際の現場では、会社ごとに様式や手順が違います。社員が Claude Code を使って、自社の様式に合うアプリを自分で作れるようになるClaude Code 研修も行っています。
公開中のアプリを、自社の書類に照らしてみる
11種のうち、自社の書類とほぼ同じ項目で使えるものもあれば、項目が足りないものもあるはずです。現場アプリの一覧から1つ開き、見本データを自社の1日分の記録に書き換えてみてください。足りない欄が分かれば、それが自社用のアプリで最初に足すべき項目です。
外部に作りを頼むと、様式が変わるたびに費用と時間がかかります。社内に作れる人がいれば、様式が変わっても社内で直せます。その力を身につける方法は、建設業向けの Claude Code 研修で紹介しています。
まとめ
- 施工管理の書類仕事に使う現場アプリ11種を、exbk.jp/apps/kensetsu で無料で公開している。登録なしで使える
- 始めるなら、KY活動シートや作業日報のように毎日書く書類から。記録がたまるとダッシュボードで期限や遅れを1画面で見られる
- ログインしていない間の記録は端末の中だけ。バックアップの担当と曜日を先に決める
- 規格値や段階確認の項目など、発注者ごとに違う値は自分で入力する
- 11種はすべて、プログラムを書かずに Claude Code で作った。条文を確認できた値だけを使っている
